前立腺がんの診断となった時の治療法として抗がん剤やホルモン療法などの内科的な治療と前立腺全摘術の外科的な治療法があります。今回は前立腺全摘術の看護、観察のポイントについてお伝えしていきます。
前立腺とは
前立腺は膀胱の出口にあって尿道を取り囲む構造となっており、サイズは数センチ程度で栗の実大の大きさと例えられます。前立腺のはたらきは精子の運動を助ける精液の分泌が中心です。
前立腺針生検査
前立腺特異抗原(PSA)は前立腺がんの簡便で有用なマーカーですが、確定診断とすることはできないため前立腺がんが疑われ場合に確定診断する目的で前立腺針生検が行われます。
一般に
①PSA 4.0mg/ml以上
②直腸内触診で前立腺に硬結など異常を触知する
③経直腸的超音波診断法にて異常所見がある
といったいずれかの場合に生検を行うとされます。
前立腺全摘
前立腺全摘術は全身麻酔下で行われ、多くの場合腹腔鏡で行われ、施設によってはロボット支援下での手術も行われるようになってきています。
手術後には疼痛管理のための持続的な硬膜外麻酔の投与も行われます。
前立腺全摘術後の看護、観察
前立腺全摘後の観察ポイントとしては、泌尿器科領域の中でも手術時間が長く、腹腔鏡とはいえ創部もあり侵襲が大きめな手術となるため呼吸、循環への影響も大きく、バイタルサインの観察とその異常の早期発見が大切になります。手術は少なくとも5〜6時間はかかり、無気肺形成のリスクなど呼吸への影響やサードスペースへの水分が移動するなど循環動態の変動など循環への影響も考慮して観察する必要があります。
傷は小さめとはいえ手術して切っているので疼痛の管理も大切になります。前立腺に特徴的なこととしては血尿、出血が挙げられ、術後数日後のところとして尿もれをあげておきます。
疼痛
硬膜外麻酔で持続的に鎮痛剤を投与することが多いですが、それだけで疼痛コントロールができていればいいのですが、多くの場合、それだけでは疼痛コントロールがしきれないことを経験します。その場合にはNSAIDsやアセトアミノフェン系の鎮痛薬の追加を検討するのがよいと思います。
血尿
前立腺を摘出して尿道と膀胱を繋ぎ直して手術が終わりますが、血尿が出てきます。それほど濃くないことも多いですが、血尿の濃さによっては凝塊血を生じて尿道留置カテーテルの閉塞に繋がります。手術した部位であるため尿道留置カテーテルはそう簡単に再留置できるものではありません。前立腺全摘後の尿道留置カテーテル抜去にはその前日に造影剤検査を行なって吻合不全がないか確認してからの抜去となります。そのため血尿があり、尿道留置カテーテルの閉塞のリスクがあると判断した場合には医師に報告して指示を仰ぐ必要があります。
出血
前立腺周囲は血流が豊富であり出血のリスクがあります。術後はドレーンが留置されるのでドレーンの排液の量や性状の観察、出血している場合にはバイタルサインにも変動がありますので合わせて確認してきます。
尿もれ
術直後のことではありませんが、術後しばらく尿道留置カテーテルを留置したあと、抜去することになります。抜去するとほぼ皆尿もれをします。尿もれの程度やいつまで続くのかは個人差が大きなところではありますが、尿もれなく退院する人もいれば、全て尿もれのまま退院となる人もいました。
まとめ
前立腺全摘後の看護、観察についてお伝えして来ました。泌尿器科領域の中では侵襲どの高めな手術でより呼吸や循環への影響も大きく、全身管理が必要な手術となります。知識を持って対応してもらえたらと思います。



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