EVAR術後の看護

EVAR

腹部大動脈瘤に対する治療として行われるステントグラフト内挿術(EVAR)ですが、開腹して行われる手術に比べて侵襲度は低く、高齢者や耐術能に問題があった方でも受けやすい治療になってきています。今回はそんなEVARの術後看護のポイントについてお伝えしていきます。看護の視点のため治療方法などを詳しく知りたい方はガイドラインなどをご参照ください。また、切迫破裂の症例などは出血や腸管への影響も大きく、予定手術に比べて観察点がさらに増えますが、今回は予定手術で切迫破裂などでないものを想定しております。

腹部大動脈瘤

大動脈瘤(aortic aneurysm)は 「大動脈の壁の一部が,全周性,または局所性に(径)拡大または突出した状態」とする.大動脈が全体にわたって拡大したものは,「大動脈拡張(aortomegaly)」と称するとされています。成人の大動脈の正常径としては,一般に胸部で30 mm,腹部で20 mmとされており,壁の一部が局所的に拡張した(こぶ状に突出,嚢状に拡大した)場合,または直径が正常径の1.5倍(胸部で 45 mm,腹部で 30 mm)を超えて拡大した(紡錘状に拡大した)場合に「瘤(aneurysm)」と称しています。(2020年改訂版大動脈瘤・大動脈解離診療ガイドライン)

腹部大動脈瘤はこの大動脈瘤が腹部の大動脈に生じたものを言います。腹部大動脈瘤はその多くが無症状ですが、破裂すると致死率は高く、生命の危機に陥ります。そのため手術適応のサイズになった場合には破裂する前に手術を受けることが重要です。

ガイドラインでは最大短径の大きさによって治療方針などが書いてありますのでそちらもご参照ください。

腹部大動脈瘤の治療方法

腹部大動脈瘤に対する治療法は大きく分けて2つあり、ステントグラフト内挿術と開腹瘤切除人工血管置換術が挙げられます。EVARの特徴としては手術時間が短く侵襲が小さいこと、それに伴い入院期間が短いことや食事や離床も早くから開始できることがメリットとして挙げられます。

腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術(EVAR)

EVARは鼠径部からアプローチして瘤のある場所にステントグラフトと呼ばれる人工物を挿入する手術のことです。それにより瘤内への血流がなくなり、血栓化や縮小していくことで更なる拡大や破裂を防ぎます。

看護としての術後の観察ポイント

EVARの術後の観察ポイントとしては創部からの出血と血圧管理、下肢の血流確認、消化器症状の確認、コイル塞栓による影響、尿量の観察などがあります。今回は多くのEVARに共通するものを中心に挙げますが、コイル塞栓併用した場合の塞栓部位などによって、留置したステントグラフトの位置などによって観察強化するべきポイントが増えますので、術式ごとにご確認ください。

EVARは全身麻酔下で行う手術であり、手術一般に起こることや麻酔に関連する観察点については触れませんのでご了承ください。

創部の観察と血圧

創部は小さいとは言え、鼠蹊部に創部がありますのでその疼痛の有無を確認していく必要があります。また、動脈を穿刺しており血腫の形成がないかも確認する必要があります。

血圧が高値だとグラフとの破綻のリスクや創部からの出血のリスクとなるため医師指示に沿って血圧管理が必要です。

下肢の血流確認

ステントグラフト挿入する際に太めなシースを使用することで血栓を形成したり粥種が飛散して動脈塞栓が起こる可能性があり、腸管や下肢の虚血に注意が必要です。下肢の血流はABIでも確認していきます。

腸管血流の確認

両側内腸骨動脈を閉塞させてY字のステントグラフトを挿入した場合には腸管虚血に注意が必要です。腹痛や血便などの消化器症状にも注意が必要です。

コイル塞栓による影響

EVARではコイル塞栓を併用する場合があり、その塞栓部位から血液が流入していた部位の虚血による症状がないか確認が必要です。内腸骨動脈をコイル塞栓した場合には臀筋跛行が生じる場合があります。

尿量の観察

EVARでは手術中に造影剤を使用します。そのため腎臓に影響を与える場合がありますので、尿量の観察が重要になります。また、造影剤により高浸透圧利尿が起こることもあり、尿量の観察はその点からも必要です。

エンドリーク

EVARに特有の合併症としてエンドリークがあります。ステントグラフト留置後に瘤の中に血流がある場合のことで、通常は術後日数が経ってから造影CTなどで確認します。看護師ができることは血圧管理などです。

まとめ

今回はEVARについてお伝えしてきました。ステントグラフトを留置した場所やコイル側線を併用した場合にはその部位によって注意するべきポイントが異なります。それぞれの症例ごとの治療内容を理解して観察していく必要があります。

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