看護師が知っておくべき全身麻酔の目的と使用される薬剤

全身麻酔

多くの看護師は病棟で勤務し、外科病棟では手術を受ける患者を日常的に担当します。手術する上では麻酔は必須ですが、術中に使用される薬剤などについて知っている看護師は多くありません。今回は術中に使用される薬剤のことについてお伝えします。

麻酔の目的

麻酔の目的は大きく分けると3つあります。

①無痛

②無動

③無意識

麻酔の目的は無痛は痛みを取り除くこと、無動は動かないようにすること、無意識は意識がない状態にすることです。これらの条件を整えることにより、医師は安全に手術を進めることができます。手術中に患者が痛みや反射で動いてしまうことがあれば、手元が狂って出血の原因となったり手術が計画通りにいかないことは容易に想像ができると思います。また医師が安全に手術することも困難となってしまいます。これらの目的のためにそれぞれ対応した薬剤を全身麻酔の手術中には麻酔科の医師が投与して全身管理を行います。

全身麻酔でよく使用される薬剤

①無痛に対してよく使用される薬剤としてはフェンタニルやレミフェンタニルが挙げられます。術中の鎮痛を行います。

②無動に対しては筋弛緩剤のロクロニウムが挙げられ、術中の無動のために用いられます。

③無意識に対してはプロポフォール(ディプリバン)などが挙げられ、鎮静されます。

これらの薬剤を使用すると副作用も生じます。その副作用に対して様々な薬剤が使用されて、手術中の全身管理が行われます。例としては血圧が低下するため昇圧剤が使用されます。麻酔から醒めれば血圧も戻ることがほとんどのため術後に昇圧剤を使用し続けることは少ないですが、術中は昇圧剤を使用して血圧をコントロールしています。そのほかにも電解質バランスの補正であったり血糖管理など麻酔科の医師によって様々な対処が行われ、全身管理が行われます。

また、術中に使用した筋弛緩剤などを拮抗薬でその作用を打ち消して覚醒をさせてから帰室となります。

全身麻酔でよく使用される薬剤を知っておくことでどういう時に役に立つのか

全身麻酔の手術中に使用される薬を知っても術後には関係ないと思われる方もいるかもしれませんが、知っているかどうかは大事なことです。私の体験談をもとに大切さを知ってもらえたらと思います。

私が全身麻酔下での手術後の患者を担当した時のことです。私は手術終了の知らせを受け手術室に患者を迎えに行き、患者は術中の経過も大きな問題はなく帰室しました。会話もできバイタルサインズも安定しており、問題はありませんでした。しかし帰室してから数十分してから患者の呼吸が止まってしまいました。大急ぎで医師を呼び救急科の医師も駆けつけ、挿管の準備もしましたが、結果として挿管はすることありませんでした。呼吸停止の原因はなんだったのでしょうか。術中の薬剤の作用が残ってしまっていたことが原因でした。術後には術中に使用した薬剤の作用を拮抗する薬剤を使用することで麻酔から覚めるのですが、拮抗薬を使用して一旦は麻酔から覚めたのですが、麻酔薬の作用が残っている状態で拮抗薬の効果が切れてしまい、呼吸が止まってしまったと考えられます。術直後ということで、医師が麻酔薬の影響を疑い、再度拮抗薬を投与したところ呼吸は戻りました。

看護師は医師の指示がないと薬剤を投与することはできませんが、そういった薬の影響を疑うことができれば拮抗薬を準備するという行動に繋げることができます。拮抗薬を言われてから準備するのと言われる前に準備できるのとでは大きな違いがあります。

まとめ

今回は全身麻酔で術中によく使用される薬剤のことをお伝えしてきました。使用される薬剤は様々であり、麻酔チャートを一度見ていただくとどのような薬剤を使用しているかわかると思いますし、とても勉強になると思いますので、麻酔チャートを見てみることをおすすめします。拮抗薬についても病棟にはストックされていないかもしれませんが、知識として持っておく必要はあると思いますので調べてみていただくといい勉強になると思います。術中からつながる術後管理に役立てていただければと思います。


コメント

タイトルとURLをコピーしました